PSP

ポリスチレンペーパー (PSP) は、EPSのように高温蒸気で加熱・発泡させるのでなく、熱を加えて融解させた原料に、発泡を行うためのガスや発泡剤を加え、液体から厚さ数ミリ程度のシート状に引き伸ばすと同時に発泡させる。発泡率は約10倍である。

食品トレーや、カップ麺の容器に使われる。食品トレー等に加工するには、必要な大きさに切り分け、加熱しながら金型でプレスして整形する。

先述したとおり、一部の食用油に溶解しやすく、また耐熱性が低いので、特に高温の油に触れると熱によって融解し、気泡構造が崩れて侵食されたようになる。このとき、泡内のブタンペンタンが外気に放出されるが、これらに含まれる不純物により、俗に「発泡スチロール臭い」といわれる独特の臭気がする。この臭気は食欲を減退させるため、食品容器では問題となる。なおポリスチレンは一切消化・吸収されずに体外に排泄されるため、たとえ融解した樹脂を食べても、健康上問題ないといわれる。

カップ麺の容器は、強度や耐熱性を増すために、他の合成樹脂素材からなるシートが表面に接着されているものが多い。ポリ塩化ビニルやポリプロピレンなどの樹脂からなる保護シートを接着することで、耐衝撃性が増す(カップ麺では輸送中に落下させてもカップが破損しない)ため、大型の容器や過酷な輸送が予想される製品の容器に広く用いられている。接着前にシートに印刷することができるので、カップ麺では、店頭に並んだ際に人目を引くよう、さまざまな意匠が凝らされている容器も多い。